注 意
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・17話がショックで、気分が落ち込んだまま浮上してこない方。
・キースが大好きな方。
・ナスカチルドレンが大好きな方。
・ジョミーとブルー以外のミュウたちも大好きな方。(私も好きではありますが……)
どんな内容の話でも、広い心で許容できる方のみ、↓へどうぞ。
慟哭
ミュウたちが「ナスカ」と呼んだジルベスター星系第七惑星、ジルベスター・セブン。
そして、隣接する第八惑星。
二つの星の大爆発により、かつて星々のあった空間は歪んでいた。
そして、それを引き起こした人間たちの最終破壊兵器「メギドの火」。
それもまた大爆発を起こし、消滅し、宇宙の藻屑となった。
かつてそれを形作っていただろう、粉々になった機械の破片や鉄屑が、宇宙空間を無数に漂っていた。
メギドの火は───……ブルーが破壊した。
その命と引き換えに、破壊した───。
ジョミーは一人、メギドがあったその空間に思念体として戻ってきていた。
シャングリラは遙か遠い───ともすれば肉体と精神の糸が切れそうに遠い。
それでも来ずにはいられなかった。
メギドを破壊し、大爆発させたブルー。
その彼の亡骸を、かけらでも拾いたかったのに───……。
無数のメギドの残骸が漂う宇宙空間をどれだけ探しても、ブルーは見つからなかった。
彼の形見というのなら、ジョミーの耳には彼の補聴器があった。
健康なジョミーには必要のない、ブルーがいつも付けていたそれ。
それは、彼の記憶装置でもあった。
それを付けた瞬間から、ジョミーの心に流れ込んでくるものがあった。
ブルーの記憶。
三百年生きた彼の記憶。
テラ
『地球を見たかった』
『地球を───……』
記憶装置は、そんなブルーの記憶をジョミーに伝えてきた。
「ブルー……」
ジョミーの翡翠色の瞳から、また新たな涙が流れた。
彼を一人で行かせた自分にそんな資格などないというのに、それでも涙は止まらない。
───捨ててしまえばよかった。
ミュウの仲間もシャングリラも、ナスカで生まれた子供たちも、すべて捨ててしまえばよかった。
長の責務など放り出してしまえばよかった。
確かに、一人でも多くのミュウが生き延びる事が彼の願いだったけれど、それでもなぜ自分は彼と共に
行かなかったのか。
彼だけを連れて、地球を目指せばよかったのだ。
地球の座標など、あのメンバーズの人間の海馬を脳髄ごと取り出して、無理やりにでも情報を取り出せ
ば分かったはずだ。
人間の命もミュウの命も知った事じゃない。
彼よりも大事なものなどないというのに。
彼がどれほど地球に行きたかったか。
どれほど地球に焦がれていたか───。
自分は分かっているようで、少しも分かっていなかったのだ。
それでもそんな自分を、彼は少しも責めてはいなかった。
記憶装置が教えてくれるその想いが、ジョミーの心に痛いほど突き刺さってくる。
それでも、彼が守れと言ったミュウたちを、自分はこれからもそうするだろう。
もうそれしか、自分に出来ることはないのだから。
彼はもういない。
もう、どこにもいない。
どれほど悔いても、願っても、彼はもう永遠に還ってこないのに───。
「っ───……ブルー!!」
涙は止まることを知らなかった。
虚空にどれだけ彼を呼んでも、叫んでも───応える者は誰もいない。
神などもう、信じない。
ジョミーにとって神にも等しいその人はもう、どこにもいない───……。
仕事中にふと思いつきました。降りてきたとでもいうのか……。
自分で思っていたよりも、私の中のジョミーは納得していなかったようです。
だってだってやっぱり、17話は悲しすぎます〜(><)
ブルーファンの戯言として、お許しください。
2007.08.10
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